耐震診断の結果、耐震性能基準に達していないコンクリート構造物に対して耐震性能基準を満たす必要があります。この場合、適切な補強・補修工事を行わなければなりません。
補強工法の種類
外部の補強
構造物外周部に補強部材(鉄骨ブレース・アウトフレームなど)を配置することで、耐力と剛性を向上させます。建物内部の使い勝手が変わらず「居ながら補強」工事ができます。
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外付鉄骨ブレース工法
構造物の外側に鉄骨ブレースを設置することで耐震性能を上昇
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アウトフレーム工法
構造物の外側にフレームを設置することで耐震性能を上昇
開口部の補強
既存構造物の耐震補強工法で最も多く採用されている工法の一つである「耐震壁増設工法」は、既存の躯体の柱や梁にあと施工アンカーを打設後、配筋をしコンクリートを打込むことで一体化を図ります。また「鉄骨ブレース工法」は、型鋼でつくられた鉄骨ブレースを既存構造物の開口部に追加することで耐震性能を上昇させる補強工法です。
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開口付耐震壁増設工法
開口部に耐震壁を増設することで耐震性能を上昇
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内付鉄骨ブレース工法
開口部に鉄骨ブレースを設置することで耐震性能を上昇
柱・梁の補強
既存柱や梁の外側に炭素繊維や鋼板をエポキシ樹脂などの接着剤を用いて巻付けたり、既存柱との間にモルタルまたはコンクリートを充填して強度と粘り強さを増強させ補強する工法です。
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RC巻立て工法
鉄筋コンクリートを増打ちし柱を補強
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鋼板巻立て工法
鋼板をを巻立てて柱を補強
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炭素繊維巻立て工法
炭素繊維シートを巻立てて柱を補強
その他の補強工事
耐震スリット工事
構造物の柱・梁と雑壁などにスリット(隙間)を設けて、地震の振動から受ける柱の変形や破壊を最小限に抑え、構造体のせん断破壊を防止します。
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ハイブリットドリルでの連続コア穿孔
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不要な部分は斫り、きれいなスリット溝を形成
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防錆材やバックアップ材の施工後シールを充填して仕上げ
断面イメージ
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完全スリット
既存壁の厚み深さまでスリットを設ける工法 -
部分スリット
鉄筋かぶり厚深さまでスリットを設ける工法
正面イメージ
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垂直スリット
建築物に対して垂直にスリットを設ける工法 -
水平スリット
建築物に対して水平にスリットを設ける工法
動画
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スパイラル工事
らせん状にまかれた鉄筋を無収縮モルタル・コンクリートなどのひび割れ防止を目的として設置
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鉄筋工事
構造物のコンクリートに入る骨組みとなる鉄筋を網目状に組み込む工事
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型枠工事
コンクリートを流し込む型枠の組み立てから、脱型・解体するまでの一連の工事