ブロック塀の作成時には、最低限守らなければならない建築基準法があります。 また、設計時には社団法人日本建築学会において「コンクリートブロック塀設計規準」などでは安全性を確保するために推奨する数値が規定されています。経年劣化、一定の高さ、長さ等の条件に対応した耐震診断を行います。
ブロック塀などの点検チェックポイント
施工例
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非破壊検査でブロック塀内部の鉄筋探査
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外観目視でもわかる控え壁のないブロック塀の補強前
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控え壁を新たに追加し仕上前の状態
動画
第一段階:外観に基づく点検
外観目視により、以下の事項に関し問題がないか確認します。高さおよび控え壁などの仕様・寸法について組積造は、建築基準法施行令第61条に、また補強コンクリートブロック造の塀については令第62条の6および令第62条の8に照らして適切か確認します。
- 高すぎないか。(組積造は1.2m以下、補強コンクリートブロック造は2.2m以下)
- 厚さは十分か。(組積造は壁頂までの距離の1/10以上、補強コンクリートブロック造は10cm<高さ2m超は15cm>以上)
- 控え壁があるか。(組積造は4m以下ごとに壁の厚さの1.5倍以上突出した控え壁、補強コンクリートブロック造は3.4m以下ごとに塀の高さの1/5以上突出した控え壁を設ける)
- 基礎があるか。
- 老朽化し亀裂が生じたり・傾き・ぐらつきなどが生じたりしていないか。
ブロック塀耐震化の補強方法
第二段階:ブロック塀内部の診断
補強コンクリートブロック造の場合、外観点検で問題が発見された場合などに、補修方針を検討するため、ブロックを一部取り外して以下の事項を確認します。第二段階は建築士・専門工事業者などの専門家の協力を得て診断することが好都合です。
- 鉄筋の接合方法、モルタルの充填状況は、令第62条の6と照合して適切か。
- 鉄筋のピッチおよび定着状況は、令第62条の8に照合して適切か。
- 基礎の根入れ深さは、令第61条又は令第62条の8に照合して適切か。
(注)補強コンクリートブロック造の場合、構造計算により構造耐力上安全であることが特別に確かめられる場合は上記の仕様基準によらないことが可能です。
建築基準法施行令 第61条令第61条
組積造の塀は、次の各号に定めるところによらなければならない。
- 高さは、1.2メートル以下とすること。
- 各部分の壁の厚さは、その部分から壁頂までの垂直距離の10分の1以上とすること。
- 長さ4メートル以下ごとに、壁面からその部分における壁の厚さの1.5倍以上突出した控壁(木造のものを除く。)を設けること。ただし、その部分における壁の厚さが前号の規定による壁の厚さの1.5倍以上ある場合においては、この限りでない。
- 基礎の根入れの深さは、20センチメートル以上とすること。
建築基準法施行令 第62条の6
- コンクリートブロックは、その目地塗面の全部にモルタルが行きわたるように組積し、鉄筋を入れた空胴部および縦目地に接する空胴部は、モルタルまたはコンクリートで埋めなければならない。
- 補強コンクリートブロック造の耐力壁・門または塀の縦筋は、コンクリートブロックの空胴部内で継いではならない。ただし、溶接接合その他これと同等以上の強度を有する接合方法による場合においては、この限りでない。
建築基準法施行令 第62条の8
補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ1.2メートル以下の塀にあつては、第五号および第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
- 高さは、2.2メートル以下とすること。
- 壁の厚さは、15センチメートル(高さ2メートル以下の塀にあつては、10センチメートル)以上とすること。
- 壁頂および基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径9ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。
- 壁内には、径9ミリメートル以上の鉄筋を縦横に80センチメートル以下の間隔で配置すること。
- 長さ3.4メートル以下ごとに、径9ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの5分の1以上突出したものを設けること。
- 第三号および第四号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあつては壁頂および基礎の横筋に、横筋にあつてはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の40倍以上基礎に定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
- 基礎の丈は、35センチメートル以上とし、根入れの深さは30センチメートル以上とすること。